「九州の屋根」とも呼ばれる九重連山(もしくは「くじゅう連山」)は、ドーム状の火山体が数多く連なり、裾野には広大な高原が広がる。5月下旬くらいから火山高地に生えるツツジの一種・ミヤマキリシマが咲き始め、山々がピンク色に染まる。この九重連山の最高峰であり、九州本土の最高峰でもあるのが中岳(なかだけ)。岩が積み重なった山頂からは360度の展望が開け、周囲に連なる九重の山並みはもちろん、由布岳方向も遠望できる。また、直下にある御池(みいけ)共々、山岳信仰の対象とされてきた。冬季、完全凍結した御池では、氷上歩きを楽しむ人の姿も見られる。ちなみに九重連山の主峰は久住山(くじゅうさん)で、連山の総称とピーク名は表記が異なる。深田久弥は『日本百名山』で久住山を品格のある山として選出しつつも、周囲のほぼ同じ標高をもつ大船山(300名山)や星生山、稲星山、そして中岳などの山々をそれぞれの個性と共に「九重共和国」として表現している。
大分県南西部に位置する、くじゅう連山の主峰(最高峰は中岳・1791m)。この山の名称については、久住山と九重山との2つの表記が混同して使われていたが、県では主峰そのものは「久住山」、山域の場合は「くじゅう連山」の表記を公式としている。阿蘇くじゅう国立公園に含まれる九州随一の人気の山で、ミヤマキリシマの咲く5月中旬~6月中旬頃(年により変動あり)の休日は、牧ノ戸峠からのメインコースに登山者が殺到する。久住山そのものは日帰りで歩ける山だが、九州最高所の温泉、法華院温泉山荘や坊がつるのキャンプ場で一泊すれば、大船山や三俣山にも足を延ばすことができる。くじゅう連山は活火山でもあるので、出かける際は情報収集を怠らないように。
大分県西部に位置するくじゅう連山を形成する山のひとつで、ひときわ大きな山容や険しさ、美しさは主峰の久住山に負けない存在感がある。5月中旬~6月中旬頃にかけての大船山から北大船山、平治岳へと続くミヤマキリシマのピンクの海、そして山頂直下にある御池の紅葉はまさに絶景。この時期の休日は登山者がどっと押し寄せる。西の九重町側から坊がつるを経て登ることもできるが、こちらのコースは歩行時間がたいへん長くなるので、南側の池窪から登ったほうがはるかに楽である。池窪登山口までは4月から11月にかけて大船山観光登山バス(要予約。2020年度は運行中止)が運行されており、登山口から山頂まで2時間ほどで登ることができる。池窪登山口への道はこの登山バス専用道路となっているため、池窪登山口を利用する場合は必ず登山バスを利用するようにしよう。
日本百名山の一峰で、大分県竹田市と豊後大野市、宮崎県高千穂町の境に位置する。山頂には山名の由来となった神武天皇の祖母・豊玉姫の祠が祀られている。遮るもののない大展望が広がる山頂への登山口はいくつもあるが、大分県側の尾平と神原、宮崎県側の北谷がメイン。険しいコースが多い中、北谷から三県境を経由するコースは唯一登りやすい。日帰りでも楽しめる山だが、9合目には避難小屋があるので、小屋泊やテント泊でゆっくりとこの山の時間を楽しむのもよいだろう。体力や日程に余裕があれば、九州の岳人憧れの祖母・傾縦走路にチャレンジしたい。全長約40km・累積標高差約3,500mのハードな道のりだが、山域の奥深さと雄大さに最も触れられる。
玖珠郡九重町から竹田市北部にかけて広がるくじゅう連山の一座。稲星山の北東、中岳の東に位置する、標高1720mの山である。近くには中岳や久住山と言った有名峰が連なっており、合わせて縦走されることが多い。どの登山口から登っても、そこそこの歩行時間と体力を必要とするため、しっかりと山行予定を立てよう。坊ガツルからは中岳の横にその勇姿が目立ち、鉾立峠から見上げると迫力満点の山である。見る角度によって美しい円錐形をしており、山頂からはくじゅう連山が一望できる大パノラマが広がっている。白口岳に登る為のルートはいくつもあるが、比較的登りやすいのが牧ノ戸峠からのコース。九州本土の最高峰、中岳や久住山を経由しながら、くじゅうの壮大で素晴らしい景色をより楽しむ事ができる。体力に自信があるという型は鉾立峠からの登山がおすすめ。山頂を見上げる程の急登の稜線が山頂へ伸びており、登山意欲が高揚するはず。