弥山(みせん)は、奈良県吉野郡天川村にある大峰山脈の山。標高1895m。 天川村の南東部、大峰山脈の中央部に位置し、山域は吉野熊野国立公園の指定区域内にある。標高1895mは奈良県下で八経ヶ岳に次ぐ高度となる。山容は雄大と評され、山頂付近は南北に長く平坦な地形である。 周囲は北方に山上ヶ岳と稲村ヶ岳、北東に大普賢岳と行者還岳、東に大台ヶ原山、南西に八経ヶ岳と明星ヶ岳があり、山頂南東部にある国見八方睨から各ピークを望むことができる。弥山は天候が整えば奈良盆地や大阪平野から遠望可能である。 弥山を源流に持つ河川はいずれも新宮川水系である。西北に弥山川、東北に川迫川(こうせがわ)が端を発し、山上川などと合流して天ノ川となる。南東へ白川又川(しらこまたがわ)が流れ、北山川へ注ぐ。弥山川と白川又川は峡谷となり、弥山川には双門峡と呼ばれる急峻な峡谷がある。 弥山の年間平均気温は約8度、弥山がある大峰山脈の年間降水量は約3500mmであり、夏は多雨、冬は積雪が多く、山頂付近で樹氷が見られる。
奈良県天川、川上、上北山の3村にまたがる大普賢岳は、大峰山系・山上ヶ岳の南東に位置する。周辺は険しい地形のため、指弾ノ窟や笙ノ窟、水太覗といった修験道の行場となった。山頂からの展望はすばらしく、山上ヶ岳や大台ヶ原山などを一望できる。5月にはシャクナゲやシロヤシオの花を見られるほか、10月中旬~11月初旬の紅葉も見ごたえ充分。山頂へは東面の和佐又口バス停からの周回コースが一般的で、山上ヶ岳や八経ヶ岳から大峰奧駈道を縦走することもできる。山頂付近はハシゴや鎖場が連続するだけに、慎重に行動したい。和佐又口からの登路にあった和佐又山ヒュッテは、老朽化のため2019年11月に惜しまれつつ閉館となった(ロッジのみ営業予定)。
稲村ヶ岳(いなむらがたけ)は、奈良県吉野郡天川村にある大峰山脈の山。標高1,726.1m、関西百名山の一座。女人大峯、稲邑ヶ岳とも記される。 天川村の東部、大峰山脈の北部、山上ヶ岳の南西に位置し、山域は吉野熊野国立公園の指定区域内にある。三等三角点「稲村岳」(標高1,725.9m)が設置されている。尾根伝いの北東に山上ヶ岳、東に大普賢岳、南東に行者還岳、南に弥山・八経ヶ岳、西に観音峯、北に大天井ヶ岳があり、山頂展望台から各ピークを望むことができる。天候が整えば奈良盆地や生駒山、金剛山、額井岳、釈迦ヶ岳などを遠望できる。 山頂部は北の大日山(だいにちさん)と南の稲村ヶ岳からなる。大日山と稲村ヶ岳の間には鋭いキレットがあり、西側の谷へと落ち込む断崖になっている。鋭い岩峰を持つ大日山を古くは稲村ヶ岳と呼び、こちらが本峰である。北側から見るその山容が、刈り取った後の稲を積み上げた稲叢(いなむら)に似ていたことが山名の由来である。大日山の標高は1,689m。山頂に大日如来を祀る祠があり、地元の村が干害に悩まされると、村人は雨乞いを行うために岸壁をよじ登り祈祷を行ったという。女性修験者のための行場として女人大峯(にょにんおおみね)の別名でも知られる。山頂付近はハシゴや鎖場、ロープが設置されている。 南にある稲村ヶ岳は標高1,726.1m。三等三角点が置かれ、奈良県が1968年に整備した鉄骨製展望台がある。稲村ヶ岳を含む大峰山脈の年間降水量は約3500mmであり、夏は多雨、冬は積雪が多く、冬期は山頂付近で樹氷が見られる。稲村ヶ岳近辺の地層は砂岩やチャートを主体とする礫岩層からなり、これを稲村ヶ岳礫岩層という。 稲村ヶ岳を源流とする河川はいずれも新宮川水系であり、北に山上川、東に川迫川(こうせがわ)が流れる。東の神童子谷(じんどうじたに)や南西のモジキ谷を流れる川迫川の渓流は沢登りの名所となっている。
奈良県天川村にある標高1,719mの山。大峰山系に大峰山というピークは存在しないが、一般的に大峰山といえばこの山上ヶ岳か、最高峰の八経ヶ岳を指す。山岳信仰の聖地としても名高く、周辺には修験道の根本道場・大峯山寺や表と裏の行場があり、現在も参拝登山が行われている。今でも女人禁制を守り、女人結界の先は女性の立ち入りが禁じられている。登山は洞川温泉を起点に洞辻茶屋~山上ヶ岳山頂~レンゲ辻とたどる周回コースが中心だが、西方の「女人大峯」稲村ヶ岳(標高1,726m)との組み合わせや、本道である吉野から吉野古道や大峰奧駈道をたどって山頂に向かうプランも考えられる。岩場が多いだけに、凍結のおそれがある冬期の入山は上級者のみ。
護摩壇山(ごまだんざん、ごまだんやま)は、和歌山県田辺市と奈良県吉野郡十津川村との県境にある山である。標高は1,372m。紀伊山地に属する。 落ち延びた平維盛が、高野山を経て逃れてきた時に平家の命運を占うため、ここで護摩を焚いたとの言い伝えからこの名が付いた。 和歌山県の最高峰であると言われてきたが、国土地理院が2000年に護摩壇山の東方約700mの峰の方が10m高い(1,382m)ことを確認し、和歌山県の最高標高地点となるこの峰は「龍神岳」と命名された。いずれにせよ、和歌山県で最も標高の高い一帯であることには変わりなく、周囲は四方八方同じような1,000m級の山々に囲まれている。 高野龍神スカイライン(国道371号)により山頂近くまで車で行くことができるが(バスも通っている)、南国の和歌山県にあって冬季は常時積雪がありチェーン着用および二輪通行禁止の通行制限がなされる。バス停留所の付近には駐車場があり、また土産物屋とともにごまさんスカイタワーという展望塔があり、天気さえ良ければ遠くまで紀伊山地の山々を眺めることが可能で、さらには紀伊水道も望める。さらにそこからはブナ林の間の整備された遊歩道を辿ってすぐに山頂まで歩くことが可能である。なお、かつては標高1,000m以上に広くブナ林があったが、スカイライン周辺から枯死が広がっており、現在ではごく一部が残っているのみである。