旭岳(標高2,291m)は北海道の中心部に位置する大雪山系の主峰で、北海道の最高峰でもある。山の名は、忠別川の源にあるところから、アイヌ語で「チュプ・ベツ」(日の川)を「旭」としたもので、旭川市の名の由来も同じである。山麓の旭岳温泉から標高1,600mの姿見駅まで大雪山旭岳ロープウェイが運行され、利用すれば山頂までは2時間半ほど。山頂からは360度の眺望が楽しめ、目前には表大雪の山々と北大雪の山々、遠く日本百名山の阿寒岳や羅臼岳なども見渡せる。姿見ノ池に広がるお花畑の見ごろは7~8月、日本一早いとされる紅葉は、9月中旬~下旬が見ごろ。往復登山でもいいが、御鉢平を経て黒岳への縦走(約8時間)がよりおすすめ。
大雪山国立公園のほぼ中央にどっしり構える山で、山上には大小の湖沼群、数多くの高山植物、無数に積み重なる岩の造形などが見事に配置され、さながら自然の庭園のようだ。一般的なコースは、登山口にあるトムラウシ温泉に1泊して短縮登山口から正規コース分岐に出てカムイ天上、コマドリ沢出合、前トム平を経て山頂をめざす。コマドリ沢付近の岩礫帯はエゾナキウサギの生息地で、耳をすませば鳴き声が聞こえ、姿が見られることも。10時間以上の行程なので、山頂直下の南沼でのテント泊が望ましい。また、7月下旬頃まで残雪を見る登山道では、視界不良時の道迷いに要注意。2009年の大量遭難は山頂北面のロックガーデンで発生した。
赤岳(あかだけ)は、北海道上川郡上川町に位置する標高2078mの山である。日本百名山・大雪山の一座で、大雪山系では東部に位置する。大雪山観光道路を利用して銀泉台にある標高1488mの登山口まで行くことができ、大雪山系では比較的手軽に登頂可能な山のひとつである。銀泉台は赤岳の東斜面にあたり、秋にはナナカマドの赤・ダケカンバの黄・ハイマツの緑・笹原の黄緑など錦模様の紅葉が広がる。ルート上には第1花園・第2花園などのお花畑も点在し、様々な高山植物を鑑賞することができる。銀泉台を越え樹林帯を抜けると駒草平と呼ばれる台地が広がり、高山植物の女王・コマクサの可憐な姿も見られる。ハイマツ帯の中にガレ場が広がる東平と呼ばれる台地を過ぎると、赤岳山頂は目前。山頂からは小泉岳・北海岳と連なる大雪山縦走路が続いている。
幌尻岳(標高2,052m)は、「北海道の背骨」と呼ばれる日高山脈の最高峰。大雪山系以外では、北海道内唯一の2000m峰である。山頂部に氷河期のカール(圏谷)を悠々と抱く姿はその名にふさわしい。カールの周囲には見事なお花畑が広がり、ヒグマやシカの採食地にもなっている。幌尻岳へのアプローチは主に西側の額平川からと南側の新冠川からの道だが、登山者の多い額平川コースでも、水量の多い沢の徒渉の連続、1000m以上の標高差の急な登降と、手強い行程が待ち受ける。避難小屋(幌尻山荘)利用の登山となるので、食料や寝具、炊事用具も忘れずに。「日本百名山」の中でも最難関レベルといわれる山ゆえ、登山の際は入念な準備を。
オプタテシケ山(オプタテシケやま)は北海道上川郡美瑛町と新得町の境界に位置する標高2,013mの山である。 大雪山国立公園内にあり、十勝岳連峰の火山群の北端に位置する山。日本三百名山に選定されている。山頂付近は溶岩の砂礫が積み重なり、森林限界のハイマツ帯には高山植物が自生。ピラミダルな山容である。 山の名の意味はアイヌ語で「槍がそこにそり立っている山」または「槍がそれた山」など諸説ある。アイヌ民族は『この山は雌阿寒岳と夫婦山だったが、離婚の末に槍を投げつけ合う大喧嘩をした。最終的に雌阿寒が槍を当てられ、今でも傷から膿を流している。雌阿寒岳の火口こそが、その傷跡だ』との伝説を伝えている。
ニペソツ山(ニペソツやま)は、北海道の東大雪にある標高2,013 mの山。北海道十勝総合振興局管内新得町と上士幌町の境にあり、標高2,000mを超える山としては国内で最も東に位置する。日本二百名山に選定されている。 山名は、十勝川の支流ニペソツ川の源に位置することに由来する。「ニペソツ」とはニペソツ川を指すアイヌ語のニペㇱ・オ・イ nipes-ot-i「シナノキの樹皮(内皮)・~が群在する・もの」が略されて伝わっているという説が出されているが、用法・実際共にまだ十分に検証されていない。山頂付近は、森林限界のハイマツ帯で、多くの高山植物が自生している。このため、二等三角点(点名「二屏卒山」)のある山頂からは、ウペペサンケ山、トムラウシ山、大雪山、石狩岳など360度の展望が得られる。北東にある登山道の溶岩の積み重なった岩場にエゾナキウサギが生息し、時折岩の隙間から姿を現し、その鳴き声が聴こえる。またシマリスが姿を現すこともある。